2010年5月15日

0238-棟梁のお仕事

ちょとした仕事の関係で、建築に詳しい方とお話をさせていただく機会がありました。話の本筋としては世間一般、厳しい市況ですが、建築業界もしかり。とりわけ地場に根付き、がんばっている工務店さんが仕事がなく厳しいとのこと。大手ハウスメーカーやらパワービルダーにどんどん仕事を取られてしまっている現状があるのだとか。

そんなお話を伺っているうちに、昔は地場に数多くいた「大工の棟梁」のお話がありました。

今でいう「現場監督さん」ですよね。家が完成するまでの間、施主と現場の間に入り、かつ、建物が完成するまで、現場の一切合切を取り仕切る人。私は今まで棟梁のお仕事というのは「家」が完成すれば、仕事は終わりとばっかり思っていたのですが、実はそうではなかったようです。

昔の腕の良い棟梁というのは、単に高い技術や現場を統率する能力があるだけでなく、自分が建てた「家」のことはもちろん、その地区の他の棟梁が建てた「家」のこともきちんと把握していたのだとか。つまりはあそこの家は○○の棟梁が○○年に建てた。とか、あそこの家の家族構成は○○だ。とか、地域のコミュニティーの情報が頭の中に入っていたそうです。

で、どうなるかと言えば、あそこの家は築○○年だから、そろそろ水周りのメンテナンスが必要な時期だ。とか、あそこの家は娘、息子も独立したので、間取りの変更を提案してあげたほうがいいかな。とか、あそこの家は高齢者夫妻になってきたので、今でいうバリアフリーの改修が必要だとか。

「家」を建てて終わりではなく。「家」のことは俺が現役の間はすべて見てやるぞっていうわけです。まさに、地域に密着するかかりつけのお医者さんのような存在。「家」のお医者さんですよね。ほんと今はそんな棟梁に「家」を建てていただける人もめっきり減ったのではないでしょうか。

「家」を建てるってことは、ある意味その地域に根付くってことですよね。長〜い意味で一生お付き合いのできる業者さんに「家」の建築をお願いしたいものですよね。

私の場合、地元のT社に建築をお願いしました。家の引き渡し後は、今のところ連絡をとることはないのですが、疎遠にならないように、末長いお付き合いができればいいなと改めて思いました。

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